消防庁より、全国の1月~9月の火災状況の概数が発表されています。その中で気になった話題と、コロナによって変わってきた防火・防災についてまとめました。

コロナ禍での火災減少傾向


令和2年(1~9月)における火災の状況(概数) https://www.fdma.go.jp/pressrelease/statistics/items/210311_boujyo_1.pdf

火災の総数は、前年同期比で 3588件の減少。

12.2%減・死傷者は17.0%減。

火災が減っている、というところだけ見ると喜ばしいです。

ただ、建物用途別の火災状況を見てみると、大幅に減っている項目上位が以下の3つになっています。

・学校  47.9%減
・公会堂等  54.8%減
・料理店  50%減

学校・料理店・公会堂…

増加傾向の項目はこちら。

・グループホーム等 6.5% 増
・幼稚園(前年同数)

公衆浴場 33.3% 増 でしたが、前年数4に対して1件の増加でした

これに次いで、病院等の減少率は1.7%。ほぼ減っていません。住宅火災は5.2%減で、こちらも控えめです。

全体の傾向から、自粛による影響を感じてしまいます。

他にも、劇場は28.6%、カラオケボックスは16.7%、旅館・ホテル等は28%減少。

また…

全火災の月別出火件数において、4月・5月の減少率が15.5%と23.5%と高めでした。最初の緊急事態宣言が出たタイミングです。

ただ、同年1月は31.1%の減少(前年と比べて1234件減)でした。観測史上最も温かい1月で、暖冬では火災件数が減る傾向があります。

このように火災の減少にはあらゆる状況が絡むので一概には言えませんが、2020年前半は特に火災が少なかったことだけは確かです。

放火の減少?

5月14日に公表されたばかりの「東京消防庁2020年消防白書」も確認してみます。
建物火災の原因の1位を占めていることが多い「放火」件数ですが……

2020年では、これまでで最も低い割合となっていました。
放火の比率 38.5%で、たばこは10年間で最も高い30.4%。

その件数は373 。

2006年頃には、放火は2000件近くありました。2010年には1500件と急減、それ以降はさらに減少して今の数です。

以前は「放火」が出火原因の半数以上を占めていましたが、今年からは「たばこ」が放火の数を超えるように。

「たばこ」は微量の減少だけで、放火が大きく減少した状態。

放火の減少の理由ですが、地域・消防の取り組みに加え、街中・住宅街での防犯カメラの普及が大きく影響しているといわれています。

防犯カメラは、防犯・放火だけでなく、近隣での犯罪防止等の相乗効果も見込めます。今も日々増加しているようです。

相模原市“最も多い火災原因”は放火。気を緩めずに放火への対策をしつづける必要がありそうです。

住宅のこんろ火災

火災負傷者が減少傾向のなか、死亡者はそれに反して増加。その6割が高齢者です。また、住宅火災の出火原因において、最多を占めるのは“こんろ”。

在宅時間が増えた今、家庭で自炊する回数も増えていると思われます。こんろでの出火原因の上位を見てみると…

放置・離れる 44%
可燃物が接触する 12.0%

…となっています。

こんろの隣に置いた可燃物が倒れて着火するのを防ぐため、周りに極力物を置かないことが大事だと思われます。こんろ周りでの可燃物の取り扱いにはくれぐれも注意を。

また、高齢者の方のこんろでの死亡原因は…

「袖口引火」(着衣着火)

特に袖の長い冬場等は注意が必要。鍋底から火がはみ出さないようにするのも大切です。

着衣着火は高齢者の死亡が多く非常に危険。驚くほど一瞬で火が進んでしまいます。台所で着火したならすぐに水をかければ、と思うかもしれませんが、衣服は本当に一瞬で火が広がってしまいます。

やけどが全身の30%以上の面積になると生命に危険が及ぶので、年齢関係なく注意したいものです。

着火してしまって水をすぐに使えない時は?
「ストップ&ドロップ&ロール」という、止まって・顔を覆って床に伏せ、ゴロゴロと転がることで消火する…という方法があります。

参考/千葉県HP 着衣着火の注意喚起https://www.city.chiba.jp/shobo/yobo/yobo/chakuichakka.html

高齢者の方は火が付いたこと自体にも気づきにくい…といった事情から考えると、予防にも力を入れたいところです。冬場は“防炎アームカバー”や“防炎エプロン”を日常から使う習慣を。防炎製品は、燃え抜けないように加工され、その性能が一定基準を満たしたと認定されたものです。

こんろを、IHなどの火を使わないものにするといった方法も。ただ、IH用の鍋でないものや、電気ケトルを間違って使用したことで火災が起きたケースもあります。IHはIHで、取り扱いに注意が必要です。

注意したいこと
・こんろの周りは整理整頓
・鍋の底から火をはみ出させないように調整
・マフラーやストールを外し、すそや袖が長く広がっている服を着ているときは特に注意
・住宅用火災警報器を設置・定期点検

参考/東京消防庁 コンロ火災について
https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/lfe/topics/bouka/data/download_stop_konro.pdf

住宅用火災警報器は、ホームセンターや電気店などで2-3000円から購入できます。うっかり席を離れてしまって火が上がっても気づくことができ、初期消火が可能になる場合も。

定期点検も自分でできます。紐を引っ張るだけ…といった簡単な操作のものばかり。取り扱い説明書がなければメーカーのHPを確認してみましょう。

消防訓練ができない中での防火・防災

新宿消防署では今年度、「火災現場の要救助者が自宅療養中の新型コロナウイルス感染者である」という想定での訓練を行ったそうです。感染防止対策を重点においたとのこと。

また、現状の避難訓練を行いにくい状況に対応して、動画で学べる防火・防災のコンテンツを配信しています。

電子学習室 / https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/learning/index.html

事業所向けのページもあり、防災盤(自動火災報知器の操作盤)についても非常にわかりやすく作られています。

事業所のスタッフにURLを渡し、”どんな働きをするものなのか”をおおまかに理解してもらうことができます。

実際の機器と操作が違う等、細部の状況を追って説明する必要はありますが、
というように、訓練のない時期のフォロー的な活用が気軽にできます。

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