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人が集まっている場所で火災・災害が起きたら?
劇場(やコンサートホール)・映画館。
興行を見るため、一つの場所に大人数が集まります。
火災が起きたら、短時間でその場所から避難しなくてはいけません。
将棋倒しの危険があるので、冷静になることがとっても大事です。
映画館や劇場には特有の消防設備が。つまり特有の危険がある?
映画館、特に劇場には他の場所ではあまりみかけない、特別な消防設備が配置されています。
これは、特有の火災の危険に配慮しているからです。このために調整されている特別な消防設備を紹介します!
客席誘導灯…小さいけど信頼できる優れもの
映画館や劇場の縦通路に面した座席の側面、下の方。
小さいライトが点灯していて、開演・上映前の薄暗い時にも足元の段差がわかります。
便利なアレですが、実は「誘導灯」の一種です。
「客席誘導灯」といい、実は「避難のための設備」。
一定以上の明るさを保つように消防法で規定されていて、消防設備の定期的な点検の対象です。
誘導灯はすべて、予備電源が内側にそなえてあります。(※1)
停電の際にも必ず点灯して避難口をしめすのが、誘導灯の役割です。
小さいけれど、きちんと仕事をする優れものなのです。
でも、ホール出口にも同様に設置してある本来の「誘導灯」も、足元の客席誘導灯と一緒に上映中は消灯していることが多いと思いませんか?それって大丈夫?
誘導灯は基本的に消してはいけないものですが、暗さが必要な劇場などの場所(※2)にだけ、特別な規定があります。
「自動火災報知機」と連動する「誘導灯信号装置」を設置すれば、必要な時間のみ、消灯していいことになっています。
「自動火災報知機」は、火災が起きたことを感知して知らせるための複合設備です。
色んな場所に設置された感知器から火災信号を受信して、ベルを鳴らします。
他の設備を連動(起動)させる機能があり、「誘導灯信号装置」という誘導灯を制御する機械と連動させて、すべての誘導灯を一斉に点灯させることができるのです。
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※1 電池別置型もあります
※2 劇場、映画館、プラネタリウム、映画スタジオなどの用途に供される部分
(酒類・飲食の提供を伴うものを除く)など一定時間継続して暗さが必要な場所
絶対防炎性能?舞台の幕
劇場に必須なのは?舞台・客席・そして幕(緞帳/どんちょう)です。
舞台と客席を分けるこの布は、床と天井をつないでいる可燃物でもあります。
幕に火が着火すると、一気に被害が広がってしまう可能性があります。
なので、劇場の幕はすべて「防炎性能がある」ものを使うことが消防法できめられています。
「防炎性能がある」とは?
繊維などを改良して、着火しにくく、さらに小さな着火であれば火がついても燃え広がらなくなる性質をもたせてあるものです。(※4参考)
防炎という考え方が現れる前に起きた重大な劇場火災では、防炎性能がない幕に引火して被害が一気に拡大しています。
逆に、近年では防炎処理されたどん帳を利用していたことで被害が小さくて済んだケースが(※5)があり、すごいの一言です。
ですが、過度に熱が加わった場合は燃焼してしまうという報告もあります。
幕に着火することが非常にこわいことだという意識は、変わらず持っておかなければいけません。
※4 総務省消防庁/防炎の知識と実際
※5 東京消防庁/防炎ニュース
舞台上のスプリンクラーはチームで動く?
劇場の舞台部以外にはめったに使われない(※6)、特殊な消火設備があります。
一般的なスプリンクラー(閉鎖型スプリンクラー)は、水槽から天井のスプリンクラーヘッドまでの配管に水が満ちている状態です。
水をせきとめている仕組みの感熱部が熱でとけることで、水が自動的に散水されます。
舞台は天井が高いので、気流の関係で最上部まで熱が伝わりません。
規模が大きいホールでは、天井までの距離が30メートルほどあります。
スプリンクラーに伝わる前に、火が燃え進んでしまいます。
さらに、幕に火がついた場合は「熱が届いたスプリンクラーヘッドだけが散水」するのでは、消火が間に合わない可能性があります。
そのため、同時に複数のスプリンクラーが散水できるように設計された…特殊な「開放型スプリンクラー」が設置されます。
「開放型」って?
・ふだんは配管の中には水が入っていない
・ヘッドの水の出口がつねに開いている
ので、こういう名前になっています。
「手動起動装置」を操作するか、または自動火災報知設備との連動で、
「一斉解放弁」というバルブが水を解放して、複数のスプリンクラーヘッドから一気に放水するしくみになっています。
また、スプリンクラーがみんな散水すると、今度は水損(水による損害)が大きくなってしまいます。
なので、「放水区域」といって、一度に散水される範囲を限定します。ABCD、と4つ設置されていれば、AとBだけが放水する、といった形になります。その時必要なチームメンバーだけが動きます。
これも劇場舞台などに特有の規定です。
これは開放型・閉鎖型どちらにもいえますが、スプリンクラーの放水量は「すごい」です。
スプリンクラーヘッドひとつの能力は種類によって違いますが、放水量が多いものは、ほぼ100リットルの水を1分で放出できます。
一人暮らしやホテルにある小さめの浴槽8-9分目が200リットル。
あの小さな放水口ひとつから、2分でお風呂のお湯がたまるくらいの水が出るのです。
また、放水は自動では止まらないので、人の操作で止める必要があります。
※6 他には、高い天井の吹き抜け、一気に燃え広がる可能性のあるものがある場所(倉庫や化学工場など)など
避難をおり込み済み?会場の設計
劇場・映画館の出口になる扉は、一方向しか開けられない場合、扉の開く方向がきまっています。
1881年、ウイーンの劇場で起きた火災では、逃げようとした観客が出口に殺到しましたが、扉が内開きのため開けられなくなり、非常に多くの犠牲者が出ました。
現在、両方向から開けられるものでない場合は必ず外開きです。
また、条例・建築基準法では劇場や映画館に関して、避難と混雑防止のために色んな指示・規定がされています。
通路・出入口などの幅は、利用人数ひとり増えるごとにセンチ単位で増やす、というように非常に細かい規定です。
これは防火設備とは関係ありませんが、劇場は沢山の不特定多数の人が高い密度で集まるので、何重にも対策が取られているのがわかります。
こんなに楽しめる避難訓練はない?
避難訓練コンサートというものがあります。
実際のコンサートと一緒に避難訓練を行う催しのことです。
災害が起こった時の対応を、会場の職員、上演者、参加者それぞれが予行訓練できます。
人気で、抽選になることもあるとか。開催が各地で増えていますので、是非とも参加してみましょう!
消火設備も、もちろん予行訓練が大事
ほんとうに火災が起きたら、消火器のようにシンプルな消火設備でも、気が動転して操作がわからなくなったりすることがあります。
カワゾエでは、消防点検の際に前もってご依頼いただきますと、訓練用消火器を持参させていただきます。
いざというとき落ち着いて操作するためにも、訓練の際に練習しませんか?お気軽にお声がけください。
神奈川・東京・静岡など、関東のエリアに対応しております。新規のお客様も大募集中です!
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