屋内消火栓。
「1号消火栓」は「平たいホースで、二人以上で操作するもの」、
「2号消火栓」は「丸いホースで、ひとりでも操作できるもの」。
でも、「1人でも使える丸いホース」なのに「易操作性1号消火栓」…という設備がある。「1号」はどういうくくりになっているのでしょうか。

「易操作性」「散水栓」「広範囲型」と、いろいろあって少しややこしいので、図にならべてみます。

●基本の特徴


易操作性1号は一人で操作可能ですが、水圧が高いため注意が必要

このようになりました。1号2号それぞれに共通するのは…

1号(全般) 消火能力が高く、設置できる防火対象物は限定されない

2号(全般) 1号に対して能力が小さく、設置できる防火対象物が限られる

ということで、設置可能な範囲が1号・2号という区分けの基準になっているようです。

「(何も用語がつかない)1号消火栓」は二人以上操作に必要ですが、「易操作性1号消火栓」は一人でも扱えるものなので、操作人数はこの区分けに関係ないということですね。

「1号」の区分けの消火栓は消火能力の高さから、工場・倉庫・危険物を貯蔵している施設でも設置できます。また、ホースも長いため間隔を広くとることができ、配備する数が少なくて済みます。



●外見の違い

1号消火栓 蓋を開くと平ホース(平たいホース)が縦に折りたたまれている(例外もあります)

2号消火栓、または一人で操作できる消火栓 蓋を開くと、筒状の丸いホースがリールまたは以下のような形で収納されている

また、一人で操作できる消火栓には、「一人で操作できます」という、ピクトグラムつきの緑色のシールが目印として貼られていることがあります。

(※図はホースの収納方式を分かりやすく伝える意図で作成したもののため、機器の詳細な仕様は描写していません)

1人で操作可能であることを示すシール

●ホースの特徴

1号/ 表面は布製。水を通してない状態では平たい帯状。水を通すと円筒状に近くなる。折りたたむことができるので長いホースを格納できる。かわりに、ホースをすべて櫛(かけてある部分)からはずして広げる必要がある。

2号または一人で操作できる消火栓/「保形ホース」といい、通水(水が通っている状態)していなくても立体の筒状を保っている。一人でもホースをひきだしやすく、途中までホースを伸ばしている状態でも放水が可能。

また、「2号」とその性能を同じくする「散水栓」とのちがいは後ほど。

●易操作性1号消火栓って?

1号消火栓と同じく工場などにも設置可。一人でも操作でき、比較的取り扱いやすいのに、性能はほぼ1号と同じです。

「消火能力が高い」まま、「一人で操作可能」なおかつ「設置間隔を今のままにできる」と、いいとこ取りです。でも、「1号から易操性1号に改修したい」となると…

★1号消火栓、易操作性1号にはカンタンに置き換えられない問題

1人操作出来るように…

2号消火栓は、ホースや能力の関係で、1号消火栓と同じ間隔では設置できません。くわえて、2号が設置できる防火対象物は限られています。

易操作性一号消火栓は?能力もほぼ同じだったはずですが…

実は、1号→易操作性一号への改修には「ポンプの増強・消火栓箱を大型へ変更」することが必要になってしまいます。

この事情のため、「間隔を変えずに一人で操作できる消火栓に改修」することは、これまで難しかったのですが…近年、「広範囲型2号消火栓」が出てきました。

水平距離・放水圧力が1号消火栓と同じ規模になります。「アスピレートノズル」という、少ない水量でも消火効率が高いノズルを使用することで、消火範囲を広くとれるようになりました。

アスピレートノズル参考/ 横井製作所
https://www.yokoi.co.jp/archives/product/aspirate?pt=23

「2号」ですので、設置できる防火対象物は限られます。吐出能力と水源量・配管等が劣るためです。
条件さえ合えば、広範囲型2号消火栓は、1号消火栓の設置個数を増やすことなく、そのまま改修が可能です。

既設(すでにとりつけてある設備)の、箱の中身だけを置き換えて、広範囲型2号に改修できるキットもあります。収納スペースや消火栓ポンプ締切圧力等、条件があるので確認が必要です。

また、必要な貯水量が減ることで、 同設備に関連する設備全体のコストダウンが可能とのこと。

じゃあ補助散水栓って何?

外見の違い/「消火用散水栓」と箱に表記されます

性能/ 2号とほぼ同様。ただし、ポンプ起動のための操作が必要なく、放水し始めることでポンプが自動的に起動する

補助散水栓のつくりは2号消火栓と全く同じですが、「スプリンクラー設備」のくくりになります。
スプリンクラーが対処しにくい天井側火災や、スプリンクラーヘッドの設置を免除されている浴室やトイレなどの初期消火ができるように、という理由で、スプリンクラー設備に併設されるものです。

スプリンクラー同様、天井内部の配管につながっていて、バルブ操作+コック操作をするだけで水が出てきます。

他の消火栓は、バルブ操作やコック操作の前に、「ポンプの起動」が先に必要になりますが、これは必要ありません。
スプリンクラーの配管を使っているためです。
散水することで圧力低下し、規定よりも圧力が低下するとスプリンクラーポンプが自動起動するようになっています。

補助散水栓のノズル部

また、他の屋内消火栓のフタの文字は「消火栓」という表示ですが、補助散水栓の場合のみ「消火用散水栓」と表示されています。

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