【火災発生時、建物の中の人にいち早くそれを知らせる】役目をもつ自火報、その受信機。
左がP型(2級受信機・5回線)、右はR型。この写真はほんの一例で、それぞれ数多くの機種がありますが、どれもP型ならでは・R型ならではの特徴があります。
おおまかな性能・機能の違いとあわせて、メリット・デメリットをまとめてみました。
※メーカーごとに機能等が異なり、開発による進歩が目覚しい状況です。こちらで紹介する特徴が該当しない場合もあります、ご了承ください。
※自火報自体のシステムについてはこちら(カワゾエブログ内自火報システム解説記事)から。
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●P型●
●P型 インターフェイス「シンプル、警戒区域で判別」
P型のPはPropietary(所有、私設の意味。)から。
操作盤上部には、まず「火災灯」。火災が発生した時にここが光り、警報音が鳴ります。その下…
「地区窓」といって、警戒区域名を割り振った項目それぞれにランプがあります。火災時には火災灯と同時にこの地区灯の該当場所が点滅。感知器が動作した警戒区域を示します。
下のように、連動している設備の状況把握にも使われます。
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●P型 回線「警戒区域ごとに回線1本」
一つの警戒区域の中の感知器を、1本の電線でつないでいます。
その回線の端末機(感知器や発信機)のうち一つが発報すると、該当警戒区域の地区灯が光るしくみです。
警戒区域が増えるほど配線が増えます。
配線の最後の機器には終端抵抗を備え、配線が途切れた時はそのことが分かるようになっています。
P型メリット①「本体は低コスト」
受信機の価格はR型と比べて格段に低コストです。メーカーや流通によって差がありますが、少数回線のP型2級受信機は10万前後から購入可能です。
P型デメリット①「回線施工コスト」
配置換え等による場所変更が多いケースでは配線施工コストがかさみます。R型はこの点について優秀です。
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●P型 規模「小規模対応だが大規模にもある程度対応可能」
P型3級は1回線まで、2級は5回線まで。
対応回線を超えると、対応回線数が多い受信機に変更する必要があります。
P型1級受信機は、100回線ほどある建物でも使用可能。 10000㎡付近までが推奨の模様。
同級のP型受信機でも、回線のスケールに合わせた製品を何種か用意しているメーカーもあり、建物の規模に合わせて適切なものを選ぶこともできます。
P型メリット②適合する規模の受信機を選べるので「よりコストを抑えられる」
P型デメリット②「対応回線の限度(特に2級)」
その受信機の対応回線以上になってしまった場合は受信機自体を交換する必要も。回線を増やす可能性があれば、それを見越した受信機の設置をするなど
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●P型 感知器特定「一部の機種では感知器特定が可能」
R型は「感知器固有の信号を認識できる」が、P型は「【その警戒区域内に設置した感知器のどれかが発報した】ということだけわかる」ものです。
近年ではP型に接続可能な「アドレス(感知器の判別情報)を設定できる感知器」、「PA感知器( またはP-AT感知機 )」が現れました。
対応機種の受信機(自動試験機能付き)はPA感知器を接続でき、その情報を受信機で確認可能。
また、自動試験機能がついているので、マンションの住居者が、コロナウイルスを心配して点検者の入室に抵抗感がある…といった現状に沿いやすく、点検作業時間の省略にもなります。(※異常がある等の場合は入室しての確認が必要です)
P型メリット②対応する機種なら、P型でも「部屋番号がわかる」「どの感知器が発報したかわかる」感知器の設置ができる
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★R型★
★R型 感知器特定「R型はすべて感知器を特定可能」
R型システムでは、感知器の「固有の信号」を受け取ります。
「A警戒区域の0005番、裏口の感知器」が発報(作動)した…という情報を受信機側ですぐに確認することができ、作動した感知器の場所を特定可能なため、対応しやすいのがR型です。P型の一部もこの機能を実現できるようになりましたが、R型はすべてこの機能を有しています。
R型メリット①「精度」 感知器・発信機に個別の情報があり、どれが作動したのか把握できる。
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★R型 インターフェイス「電子画面表示」
火災灯があるのはP型と同じですが……
地区灯のかわりに液晶等の電子画面表示が備えられています。
この画面で、火災信号を送ってきた端末(感知器や発信機/押しボタン)の情報が詳細にわかります。
例えばホテルの場合、号室だけでなく、同じ客室の感知器発報でも「寝室」からなのか「キッチン」からなのか、すぐに分かります。
福祉施設・ホテル・病院・寮・マンションなど、素早く「どこで起きたか」を知る必要がある建築物に適しています。
R型のRは「Record」の頭文字から。時間ごとに情報記録紙をプリントアウトする機能がついていて、状態・その変化・警報のログ等が残されます。画面での確認も可能。
履歴等データの取り扱いでパソコンとの連携が容易く、大規模なシステムではパソコン側でリアルタイムに情報を確認できるものもあります。
※回線数の多いP型ではプリンタ機能等をオプションで追加可能なものもあり、記憶媒体を使うことで、R型同様にパソコンでのデータ利用が可能なものも現れています
R型デメリット①本体コスト「高」 P型と比べて受信機本体のコストは高いものとなっています。
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★R型 回線 「配線の施工費は抑えられる」
R型は配線をシンプルにでき、受信機のサイズはP型のそれに比べて非常にコンパクト。
回線を追加するとき、P型は大幅な配線工事が必要になりますが、R型は結線が楽なので、施工時間も短くて済みます。
間取り変更などにも柔軟に対応でき、配線施工面でのコストをおさえることができます。
R型メリット③回線施工コスト「低」配線工事費をおさえやすい、 間仕切り変更等に対応しやすい。
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★R型 規模「大規模施設にも対応」
ものによっては数千アドレス(感知器数)対応可能。最大100000㎡までカバーできる。最小単位はメーカーによる。(panasonic製品は8000㎡~)
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〘アナログ式受信機(R型)って?〙
煙や温度の情報を監視できるアナログ型感知器に対応したR型。非火災報が起きやすい場所に向いているものです。
アナログ感知器は、【 厨房や工場といった 温度が高くなりやすい・煙が発生する】場所に適応。受信機側でその感度を適切に設定することで、頻繁な誤作動を減らします。 また、温度変化・煙濃度の変化を詳細に把握。
点検時に設定表示温度などの確認を実施・報告する必要も。
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◆共通・ほか◆
【Gのつく受信機って何?】
GはガスのGのこと。「G型受信機」はガス漏れに関する自動報知設備です。
GP型・GR型と呼ばれるものは、自動火災報知設備機能の「P型」「R型」にこの機能があわさった複合機のこと。
【自動試験・遠隔試験って?】
◆自動試験:自動火災報知器の機能が適切に維持されているかを自動的に確認できる機能です。
外観試験など免除できない項目もありますが、自動試験機能付き感知器の場合は、定期点検時の感知器試験が免除されます。
セキュリティが重要な施設(事務所・研究施設・工場・事務所ビル・大学や研究施設・データセンター・コールセンター)の一部など、外部の人間に立ち入ってほしくない場所に適しています。
◆遠隔試験機能:感知器の機能が適正に維持されていることを、設置場所から離れた場所で確認することができます。
点検の際に外部試験機を必要としますが、不要なものもあります。
一例ですが、マンションの戸内の感知器を試験する場合、玄関先の戸外インターホンにこのようにつないで検査。異常ががない限り入室が必要なく、点検作業もスムーズです。
遠隔試験機能付き感知器・GP型3級受信機の動作を試験することが可能。また、変電室・エレベーターシャフトなど、点検員が入りにくい場所に設置された感知器などにも適しています。
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◆地図で見る受信機?
インターフェイスに地図を直接設置し、発報箇所が視覚的に把握できる機種もあります。(P型・R型両方)
この画像はぼかし入りです。発報時、その警戒区域が地図上で光るようになっています。とてもわかりやすいですね。
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P型・R型ともに、受信機は非常に多くの種類の製品があり、操作方法・注意点も違います。
非常時の使い方について不安な点がおありの場合や、R型をP型に・P型をR型に変更・改修したいというご相談がありましたら、ぜひともカワゾエまで!気軽にお問合せください。ご相談・お見積りは無料です。
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参考ブログ記事①町田市医療施設にてP型をR型へ改修
参考ブログ記事②受信機部品の劣化についてと、リニューアル
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