屋内消火栓はどういうものか?

防災設備のうちのひとつ、屋内消火栓

下のイラストと似た形のものを、学校・大型商業施設・公共施設などで
見かけたことがある方がほとんどではないかと思います。
でも、中に何が入っているか見た事がない方が多いのではないでしょうか。

 

この中には、
バルブとノズルのついたホースが格納されています。
このバルブを開放し、
そのホースとノズルを引っ張って、
火元に向けて水を放水する設備なのです。

 

きちんとした表現で言いますと、

「屋内消火栓」とは
・施設(防火対象物)の関係者(や住居者)が、
・屋内火災が起きた時に、
・この中に格納してある放水用具(ホース・ノズル)を
水が火元に届く場所まで移動させて、
初期消火を行う

ための消火設備です。

施設の関係者・住居者と書きましたが、
実際の火災時には、消防署の消防団員が
使用することが多いようです。

 

消火栓は、この箱だけで完結するものではありません。

  • 「水源」
  • 「加圧送水装置(ポンプ)」
  • 「起動装置」
  • 「消火栓箱(この消火栓という箱)」
  • 「これらを接続する配管・配線」

によって構成されています。

 

「起動装置」でポンプを起動させ
「水源」から水を「ポンプ」
「配管・配線」で送り
この消火栓箱のホースの先のノズルから
放出させる仕組みです。

※パッケージ型と呼ばれる、箱単体で使える消火栓もあります。
一定規模以下の防火対象物(建築物)を対象に、
通常の屋内消火栓の代替設備として設置できるものです。

 

1号消火栓と2号消火栓の違い

消火栓箱自体は
よくご覧になっている方が多いと思いますが、
「1号消火栓」「2号消火栓」という言葉には馴染みがないかと思います。
消火栓には種類があり、このよく見かける「消火栓」の箱は、その施設が必要とする消火能力に合ったものを設置してあります。

参考 当社ブログ/「易操作性」「広範囲型」など、他の種類も加えて比較した記事
い操作性?散水栓?屋内消火栓の種類と違い/一部の防火対象物では1号消火栓をそのまま置き換えられる「広範囲型2号消火栓」?

1号消火栓と2号消火栓、どう違うのかというと…
2号消火栓は一人で使えるように作られています。

1号消火栓は操作が難しく
(ホースを全部引き出して使用するなど)
操作に訓練の必要があり、
2人以上で扱う必要があります。

その分水圧が強いため消火能力が高く
消火範囲も広く設定されています。

 

このように

箱の中にカーテン状に
ホースが
畳み込まれている場合は、
1号消火栓です。

 

 

 


2号消火栓の場合は、
ホースをひとりでも
伸ばしやすい
仕組みになっています。

 

 

1.ホースの収納方式

2号消火栓は、扱いやすさが重視されるため
ホースを巻けるリールによるホースリール方式
または折り畳み等収納方式
2種類が採用されています。
上の写真の2号消火栓は
「折り畳み収納方式」になります。

他の点においても、この二つは性能によって役割が分けられています。

 

2.ノズル・ホース

2号消火栓の場合
放水量 60L/分 (1号消火栓の約半分)
呼び径25mm(1号は40)
ホースの長さ20m前後(1号は30m前後)
1号と比べて小さく・使いやすく作られています。

1号消火栓はノズルから出る水の量が多く、水圧が高いため
放水の反動がとても大きくなります。
更に、一人では操作できないので、2人以上で協力して使う必要があり、
放水訓練などによる操作の熟練が求められます。

特に、放水時には危険を伴います。
水圧の反動がとても強いため、
ノズルをおさえておけずに手を放してしまうと、
暴れるノズルや放水される水が
人の体や目に当たり、深刻な怪我をすることもあります。
取扱いにはくれぐれも注意が必要です。

 

 

3.消火栓の設置基準

消火範囲の関係上、ホースの接続口を中心として
2号消火栓は半径15m(1号は25m)(水平距離)の円で
面積をカバーできるように配置する必要があります。
設置基準は、延べ床面積
構造・施設の取り扱う指定可燃物の数量などにより
定められています。

また、耐火構造である場合
もしくは「準耐火構造で内装の制限がある/耐火構造で内装の制限がある」場合…など
構造の耐火性能によっては、
延床面積から算出される設置基準が緩和されます。

 

4.操作方法

また、この2つは操作の仕方が異なります。
2号消火栓は内部にあるバルブ(弁)を開く事で
ポンプが起動・送水されるようになっていますが

1号消火栓の場合は、
起動のみが行える「起動ボタン」が内部についているなど
構造自体が違っています。

1号の場合はバルブを開くだけでは放水されず、
先に「起動ボタン」を押す必要があります。

特に1号消火栓は、放水訓練などで
訓練・使用の手順の熟知が必要となります。

 

 

ふたつの消火栓の違いをメインにご紹介しました。

屋内消火栓も、定期的な保守点検の必要があります。
いざという時に正常に動作するようにしておくことがとても大事です。

カワゾエでは、防火対象物における
防火防災設備の設置・保守点検を承っております。
どうぞお気軽にご相談下さい。

 

 

参考/イラストでわかる 防災・消防設備の技術
イラスト/いらすとや