収容人員についての用語や条例が色々ある、どこから見ればいい?
収容人員を調べよう!と思うと、難しい用語がたくさん出てきませんか?
飲食店を例にあげて、「収容人員を算定する」やりかたを簡単にまとめてみました。ただしあくまで一例としてごらんください。
実際の店舗・施設で判断がつきにくい場所がある場合、また、算定における判断については、管轄の消防署にお問い合わせください。火災予防条例が市町村ごとに違うため、判断が変わってくることがあります。
何をどうする?
まず、算定人数を調べる「防火対象物」(定期点検を必要とする規模の建物)が、 【①何の種類にあたるのか」を確認】します。
この「種類」によって算定要領がきめられています。たとえば 同じくらいの大きさの建物だとしても、飲食店か、医院かで算定する内容が異なります。
この種類のことを「項」といいます。
数字(大きな分類)とイロハ(小さな分類)を組み合わせたのが「項1-イ」というような表記です。
下の表から、対応する区分を探しましょう。
次に…
以下のリンク先の【②表(算定要領)で、該当する「項」の算定要領を確認】します。 https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/lfe/office_adv/jissen/syuyo_santei.pdf (東京消防庁/収容人員算定要領 ※)
そこに書かれているのが、算定に必要な要素です。
【③収容人員算定について書かれた消防法施行規則第1条の3の該当部分を確認しつつ、必要な要素を全部足す】
これでおおまかな収容人員がわかります。
実際には、地域の火災予防条例にそって作られた「消防設備の設置基準」に記してある
・収容人員算定の基本
・収容人員算定上の共通事項 の確認が必要です。
該当地域の算定要領・上記2種の確認をしたい場合は、管轄消防の予防課や査察指導課に問い合わせます。
それでは、例を出して実際に調べてみます。
まずはひとつずつ確認
やきとり店(架空)の収容人員を確認してみましょう。
【①】建物の分類(項)をチェック
食事を提供するのを主とする飲食店ですから、<三項-ロ>が該当します。
三項のロは…
【②】項ごとの算定要領をチェック
1.従業者の数
2.(客席部分)イ.固定式のいす席→いす席の数(長いすの場合0.5mごとに1人。端数切捨)
3.その他の部分→3.0㎡ごとに1人
という内容。この3つの要素すべてを足した結果が収容人数になります。
架空のお店を図にしました。窓は省略。
人の記号は「お店が営業中に配置されている従業員の人数」ということにします。
椅子が16脚、従業員が4名、とあります。この「従業員」は、お客さんが来ているときに配置されている人数を図で示してあります。
では、「従業者数」「客席部分」「その他の部分」それぞれをみていきます。
【③】算定方法にそって収容人員をひとつずつ確認
1.「従業者数」…「営業している最中、お店に配置されている従業員の人数」です。このお店に就業している者の総数ではありません。
●注意点●(消防法施行規則より抜粋)
・「正社員又は臨時社員等の別を問わず」
・「交替制勤務制度の場合、従業者の数は通常の勤務時間帯における数とし、勤務時間帯の異なる 従業者が重複する交替時の数としないこと。 ただし、引継ぎ以後も重複して就業する勤務体制にあっては、その合計とすること。 」
正社員かどうか等は区別なく数え、また、シフト交代時にかぶる(重複する)人数は数えません。(そのまま人が増える形以外)
この例で書かれた「従業員」の数は、「営業中に配置されている人数」なのでそのまま「従業者数」として数えられます。
従業者数=4
次に…
2.「客席部分」…椅子に座れる人数を算定します。固定いすか、移動式いすかによって、算定される人数がかなり異なる場合があります。
「固定いす」…テーブルに対応して固定されている席。ソファなど、動かすことが簡単にはできない椅子。連結された席。掘りごたつ席。
「移動式いす」…運ぶのが簡単な椅子
「横に長いソファ席・長椅子・掘りごたつ席」は、「固定いす」として扱います。
●注意点●
・正面から見た幅を0.5Mごとに1人として割り算し、1以下の数は端数切捨て。
・複数ある場合、すべての椅子の幅を全部合計してから割るのではなく、ひとつひとつの長椅子の割り算→端数切り捨てをしたあとの数字を合計する。
図には、椅子がカウンターとテーブルあわせて16脚。
座席と直接対応したテーブルがあり、
そこから基本的に動かさないという場合は「固定いす」としてみなされます。
※テーブルがあっても、座布団を好きな数だけ置けるような和室・宴会場や、立食会場のように、座席を簡単に移動・追加することができ、席が増やせるような場合は「面積」を計算します。
「固定椅子」は、客席部においた脚数を直接「収容人員」として数えます。
客席部分=16
これで二つめ。次は…
3.「その他の部分」…この図では、「通路」と書かれた部分がそれにあたります。トイレも見えますが…
●注意点●
・「廊下、階段、便所等は、原則として収容人員算定の床面積に含めないものとする」
この場所をただの通路として使っていたら、計上しないものとします。(この場所に椅子などがなくても、いつもお客さんが待機している状態であるなど、「待機場所」として使われているとみなされる場合については後述)
これまでの数字を足して…
従業者数(4)+客席部分(固定椅子の数)(16)=収容人員は20です。
椅子が固定椅子・その他の部分が含まれない場合はとても簡単ですね。
では、別の場合も見てみます。
◆飲食提供する場所が立食いだった場合は?◆
椅子が基本的にない、立食い・立食パーティ・座敷などの場合…面積を確認します。
●床面積算定の注意事項●
・「 単位面積当りで除した際に生じる小数点以下の数は、切り捨てるものとする」
・「廊下、階段、便所等は、原則として収容人員算定の床面積に含めないものとする」
たとえばこのお店が立ち食い店で、飲食の提供に使っている面積がかりに32.6㎡とします。これを3.0㎡で割って切り捨てると「10」です。
10に従業員数4を足し、「14」が収納人員の数に。
固定椅子の場合と比べて、収容人員が大きく減りました。
◆通路部分に椅子を置いていたら?◆
入り口付近に、順番待ちのお客さんが座る椅子を置いているお店は多いと思います。そのための椅子を置いた場合、「通路」と表示していた場所は「通路」とはみなされません。
先ほどの通路部分の右端に椅子を2脚置いた場合。
A.固定椅子だった場合、その椅子の数のみ数えて、収容人員に足します。
→2を上記20に加えて22。通路用の待機椅子が2脚なら、収容人員は22になります。
B.椅子はないがここが「待機場所」として使われていると判断される場合、「その他の部分」として面積を計上します。
椅子がなくても、ここに常時人が立って待っているような場合は、通路ではなく待合とみなされます。
→面積13.8㎡を、3.0㎡で割った数字が4.6、端数切り捨てして4。収容人員は24となります。
ひとつずつ見ていくとこのようにある程度把握できますので、まずは区分から数え方を確認していただくことをおすすめします。また、実際の判断については、消防署に確認をとっていただくようお願いします。
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