防火区画は、隣の区画への延焼拡大の防止と避難安全を確保するための区画で、温度や煙の濃度上昇を防止する機能があります。
隣の区画への熱移動は、区画の固体を介した対流、伝導、輻射の3つの要素と、亀裂や隙間からの高温ガスや煙の流出が考えられます。

通常防火区画は、準耐火構造の床若しくは壁と、その開口部に設置された防火設備によって構成されています。
ちなみに、準防火構造の壁は火熱によって

①構造耐力上支障のある損傷を生じない性能
②裏面の温度が上昇しない性能
③火炎を出す隙間や亀裂を生じない性能

この3つが確保されています。

防火区画
((般)日本建設防災協会『防火設備検査員に関する講習テキスト1』より)

これに対して、開口部に設けられている防火設備は、遮炎性を有してはいるけれども、遮熱性を有してはいないので、防火設備と取り付け枠の間に隙間が生じることになります。
つまり、開口部に関しては、火災室内の高温ガスの流出までは規制されていないことになります。
これは、開口部は防火区画を形成している一部に限定されており、通路として用いられることも多いので、必然的にその周辺には可燃物が置かれないということから延焼拡大を防げると考えられているからです。

防火設備に要求される基本的な性能は遮炎性能です。
通常の防火設備に要求される遮炎時間は加熱開始後20分間です。しかし、防火区画に設ける防火設備の場合は60分間(特定防火設備と言います)です。

防火区画がいかに安全確保のための区画かがわかります。