■重要文化財が火災被害に遭うショック

 

ノートルダム大聖堂の火災から、1か月以上経ちました。

映画や舞台で有名な小説作品「ノートルダム・ド・パリ(ノートルダムの鐘)」の舞台でもある、存在感の大きな建築物の一部焼失には、日本に住む私たちもショックを受けました。

報道を受けて、国内では重要文化財やお城等の歴史的建築物で、防火体勢見直しや再点検が行われています。

ノートルダム大聖堂で被害に遭った大部分は木造部分でした。日本の文化財に多い木造建築では、火災への対策がどのように行われているのでしょうか。


 

 

■自動火災報知設備で早急な発見を…

 

火災は、どんな場合でも早期発見が重要です。

様々な防火設備がありますが、「自動火災報知設備」は、早急な発見を第一の目的としている設備です。
詳しくは「自動火災報知設備とは?」(弊社HP内ブログ)をご覧ください。
 

すばやく火災の発生を確認できれば、同時に人手を集めたりしながら「避難」「初期消火」「通報」を行う事ができ、被害の程度をおさえることに直結します。

ノートルダム大聖堂にも、自動火災報知設備が設置されていました。

 

 

■人的事故?特別な状況?

 

報道によると、「火の手が上がる前の20分前ごろに火災報知器が鳴り、点検したものの、その時点では出火を確認できなかった」とのことです。

現在、詳細な理由は不明です。人的事故だったのか、特別な状況だったのかは今後の公式発表が待たれます。

日本において木造建築の文化財を守る場合も、特別な理由から通常とは違う訓練が必要になることがあり、一筋縄ではいかないようです。

 

 

■建築に使われている材質によっては特別な対処が必要に

 
以前から、文化財の防火に関して文科省が注意喚起している件があります。

桧皮葺(ひわだぶき)屋根【※1】、茅葺(かやぶき)屋根【※2】などの植物性の材質の屋根が、よく乾燥した状態で、飛び火によって着火した場合、

「着火しても煙が目立たず」「長時間かけて内部に穴をあけて燃え広がる」とのことです。

文部文化省ホームページ(http://www.mext.go.jp/)内文化財の防火について/平成六年八月一七日
そのため、通常の消火活動とは違う、特別な連携・整備・訓練を必要とするとのこと。

保全のために必要な事とはいえ、文化財を守っていくことは並大抵のことではないと感じます。

 

※1 桧皮葺(ひわだぶき)屋根……
「ヒノキ」の樹皮をずらしながら重ねて作られた屋根です。(京都御所の建礼門など)

※2 茅葺屋根……
ススキや茅(チガヤ)の総称の「茅(かや)」で葺いた屋根です。

 

 

■延焼から木造建築を守るのが目的の設備がある

 

木造建築に設置される防火設備ですが、火災報知設備、初期消火のための消火器や消火栓、避難のための誘導灯などの設置が規模に合わせて設置されるのが基本です。
木造建築は「飛び火」による着火の危険が大きく、それを防止するため「延焼防止」を目的とした設備があります。
「ドレンチャー設備」といい、神社・仏閣などへの設置が推奨されています。
スプリンクラーのように散水して作る水の幕で「火の粉」「輻射熱(ふくしゃねつ)」から、建物を守る仕組みです。

詳細を知りたい方はこちら
能美防災HP/文化財防火設備・ドレンチャー

※これに対して、スプリンクラーは「初期消火」を目的としています。

 

■平時からの予防

 

火災時の活動計画や、火気管理の徹底はもちろん、万一の出火に備えて適切な設備を設置し、それがきちんと作動する状態にしておくことが大事です。これは文化財に限ったことではありません。
 
設備がいつでも万全に動くよう、定期的な点検をすること、そして、防火戸や消火栓周りに障害物になるようなものを置かない…というように、日常の中で防火設備の状態を気にすることが、いざという時の被害をおさえることにつながります。

 

■文化財と防火意識

 

毎年1月26日は,「文化財防火デー」といい、毎年全国各地の文化財所在地で防火訓練等が実施されます。これは、1949年に奈良県斑鳩町の法隆寺金堂と、内部にあった国宝の壁画の大半が燃えた日と同じ日付です。
国民に大変なショックを与えたこの火災被害をきっかけに、国内の文化財保護の意識を高めようという意図で制定されました。
 

こうした動きと同じく、現在の火災対策や消防法は、火災によって大きな被害を受ける度に内容を見直されながら現在のものになっています。
 
建設された時代の文化や雰囲気を残しながら、長い年月その土地を見守ってきた建物には、文化財として価値があるだけでなく、その地域に暮す人々の心のよりどころでもあります。
防災訓練・設備の設置や点検を適切に行うことは、建物だけでなく、文化財を大事に思う人の気持ちも守る事にもなります。

参考…Wikipedia ノートルダム大聖堂の火災