お店で迷子になった消火器。点検では不良であがってしまいます
お店で迷子状態の消火器

オフィスや店舗・マンションなど、多くの物件に消火器の設置義務があります。扱いやすい反面、お悩みも多いようで……

「2022年に置けなくなる消火器がある?!」問題お店での置き場問題
標識自作OK?問題種類ありすぎるからおすすめを知りたい

といった件について、確認していきます。

消火器の「2022年問題」

消火器の「型式」には、新・旧があります。
今年12月31日までは「旧」も設置可ですが、それ以降も 設置したままの場合、「型式失効」として、点検結果に不良としてあがってしまいます。
一般家庭の消火器には関係なく、点検が義務付けられている建物だけです。

旧型式の消火器の見分け方

消火器にはこのように3つ、色つきの丸い表示がついています。
これは「適応火災」の表示で、その消火器が 普通火災 ・油火災 ・電気火災のどれに有効なのかを確認できます。

この表示の形式が変わり…

普通火災:木材・紙・繊維← 油火災:石油類・その他油 →電気火災:電気設備など

上の段の写真のように、字で表示されているものは古い型式になります。

イラストでの表示は「国際規格」に準じたもので、 日本語が分からない方にも判別できます。

2012年以降製造の消火器の適応火災表示はすべてこの形になりました。他にも、この「新しい型式」で表示義務が追加された項目はこちら。

・「 蓄圧式」「加圧式」の区別
・住宅用消火器ではないこと
・ 消火器交換の目安の表示
・ 使用時の安全な取扱いに関する事項 ・ 維持管理上の適切な設置場所に関する事項 ・ 点検に関する事項 ・ 廃棄時の連絡先及び安全な取扱いに関する事項

3年ごと点検の物件では、気づかない可能性も?

旧型式がまだある場合は点検業者にあらかじめご相談いただければ、次の点検の時に交換できると思われます。業者に依頼しない方でも、現在生産・販売されているものはすべて新型式ですので、ホームセンターや量販店などで購入できます。

どうして全部切り替えることに?

老朽化した加圧式消火器の破裂事故が多発してしまったからです。
色んなケースがありますが、注目するべきは

加圧式の消火器が・老朽化している状態で・レバーの操作がされた」ケース。

自主的に廃棄処理を行おうとしたときに、事故にあっています。 このとき破裂した消火器は、2タイプあるうちの1方のみで…

消火器には「2タイプ」ある?

消火器は圧力で薬剤を噴射しますが、その形式の違いから

「蓄圧式」「加圧式」 の2種類があります。

蓄圧式は、未使用の状態でも常に内部に圧がかかっています。
加圧式は、使用時(レバーを握った時)に圧がかかる構造になっています。

加圧式は内部に二酸化炭素ボンベが内蔵され、レバーを握るとボンベが破れて圧力が加わります。そのときに、容器に問題がなければ無事作動しますが…

容器が老朽化などで腐食・変形していた場合、一気にかかった圧力に劣化部が耐えられず、そこから破裂してしまいます。
この圧力はとても強いものです。破裂した消火器が頭部にぶつかる事例は多く、なかには死亡事故も。

「蓄圧式」はレバーを押す前から常に圧力がかかっているため、加圧式のような破裂をすることはありません。
「加圧式を使っていて破裂が心配」という場合・また、蓄圧式でも安全に取り扱うために以下のポイントに気を付けてください。

気を付けるポイント

①安全ピンの有無を確認
②減圧してないか
③変形・サビなどがないか
④製造から10年以内(業務用)である※製造年はラベルに記載
⑤適切な場所で保管
⑥持ち運ぶ場合は持ち方に気を付ける

これらのポイントをチェックして、安全に取り扱いましょう。それぞれどう確認するかというと…

確認するところ

①安全ピンが抜けてない
②減圧してない

安全ピンが抜けている状態で握ると、薬剤が放射されてしまいます。触れる前にチェックしましょう。

また、(⑥)持ち運ぶ際は 、この上下2本のレバーの「下側だけを持つ」ようにしましょう。 浴室洗剤や消臭剤などのよくあるスプレー容器のレバーは下側が可動しますが、消火器は逆で、下側のレバーが動かないようになっています。
このレバーの上下をまとめて持ちたくなりますが、ピンが抜けている状態だと、間違って「握って」しまい、薬剤が放射される可能性があります。

余談ですが、このピンを紛失した場合や、間違って安全ピンを抜いてしまった場合は、メーカーや消防設備会社にお問い合わせください。(操作がものによって違うため)

②減圧していないかどうか…蓄圧式の場合、圧力計がついています。キャップ付近にある圧力計の針が緑色の部分におさまっていればOKです。

針が緑色部分におさまっていない例

③変形・錆・キャップのゆるみやホースの劣化など、破損している場所がないか、見た目で確認しましょう。へこみなども危険です。

腐食がすすんでいる状態

⑤適切な場所について

・直接地面に置かず、消火器用の台座の上などへ
・消火器ラベルの「使用温度範囲内」の場所
・高温多湿でない場所・ 日光・潮風・雨風・雪にさらされない場所

特に屋外の地面にそのまま置いてしまうと、上の写真のように、接地している底部からの劣化が早く進んでしまいます。

また2012年以降製造の消火器でも、 製造年から10年を経過した消火器は、数年ごとに耐圧性能点検が義務となります。

老朽化した消火器の廃棄は自分で行わずに、かならずリサイクル業者や消防設備の会社に依頼しましょう。
こちら↓のセンターのWEBページから詳しく確認できます。
消火器リサイクル推進センター/処分手順

店舗での消火器の置き場問題


「消火器、お店のレイアウト変更で移動させたい。報告や相談は必要?」

什器の場所替えの際は特に、消火器の置き場に困るお店は多いようです。

時には棚の中にしまわれていることも。点検で消防不備になってしまうのは面倒ですし、何よりも非常時にパッと取り出しにくいのは非常にリスクが高いので、ぜひ適切な設置を。

実際には、防災設備会社の点検の前などに「移動させた・または移動させたい」旨を連絡していただき、当日に調整させていただければ、問題ないかと思います。

「所定の位置」以外に移動したいときには…

消火器設置場所に関する気を付けるべきポイント

①使用時に簡単に持ち出すことができる場所
②床面からの高さが1.5m以下、廊下・通路または出入り口付近に設置
③消火器は各防火対象物・部分から歩行距離20m以下(大型消火器は30m以下)になるよう設置し、各階ごとに設置すること

④周囲に障害物がなく容易に取り出すことができる
⑤「消火器」という標識がすぐそばにある

内装や雰囲気、インテリアに気を使っているお店……美容室・エステ・服飾店などでも、このポイントが守られていればデザイン性と適切な設置が両立可能です。(判断が難しい場合は管轄の消防署に確認を。)

消火器がそこにあるとはっきり分かる表示があり、簡単に取り出すことができる」のであれば、箱または目隠しを兼ねたデザイン性のある置き台に設置することができます。このような「壁埋め込み型」のboxも。

消火器があるとはっきりわかる表示。

大きな建築物で複数設置している場合は、特にが関係してくるため、消防または設置した防災設備会社との相談が必須になると思います。

⑤の標識についてですが…

消火器の標識、自作してもいい?

美容室設置の消火器と標識

消火器を設置したら、「ここに消火器がありますよ」という標識もすぐそばに設置しなければいけません。

この標識には、選択肢がいろいろとあります。

しっかりした品質のメーカー製品モノがおすすめですが、条件を満たしていれば安価で買えるプラスチック板のものでもOK。さらに、無料配布されている「消火器標識の印刷用データ」をダウンロードをしてプリントアウトして使う…といったことも可能です。

以下の規定が守られていれば問題ありません。

①大きさは短辺8センチ以上、長辺24センチ以上。
②赤い背景に白文字で消火器という表示。

※②地色、文字が違う配色でも、「鮮明に」認識できる場合はこの限りではない…とされます。ただし、消防と協議し、確認してもらうことが必要です。

紙(プリントアウトしたコピー用紙含む)を利用したい場合、劣化したり丸まったりするので、ラミネート加工などによる補強がおすすめです。

ラミネート加工…紙を透明なプラスチックフィルムではさんで熱圧着させ、耐水性のある加工をすることです。折れ曲がりにくくなります。

ラミネーターという機械(3000円程度~)と、台紙(フィルム)が必要。無い場合は、キンコーズやアクセアなどのオンデマンド印刷屋・ ラミネートサービスをしている文具店・カメラ店 などに1枚から依頼可能です。(1枚数百円程度)

手間を考えると買った方が良い場合も。赤色は色褪せも起こりやすいので、ご注意を。消火器の標識にはこうした選択肢がある、というお話でした。

おすすめの消火器は?(業務用)

「蓄圧式」がおすすめです。( 必須ではありません )

・操作性が良好… 加圧式よりも小さな力でレバーを引け、レバーを離すとすぐに放射が止まります。
安全性も優れている…万一腐食などで穴があいたとしても破裂することはないとされます。

具体的に言うと、 モリタ宮田というメーカーの「アルテシモ」です。

すっきりと壁掛けできる
オプション部品があります

アルミボディで軽量化されていて…

消火器の一般的な重さは「5~10kg」
アルテシモは2割減の「2~8kg」
同じ大きさ・能力でも「軽い」。

女性スタッフが多いクリニックや美容室・エステなどには特におすすめ。 女性ががんばって運べる重さのものは7kg程度といわれています。塗装も、マットな赤ではなく透明感があって綺麗です。

また、消防点検をする物件に設置するものであれば「業務用」かつ「検定済品」であることが必須です。

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